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第十回 実在気体の状態方程式

10.1 実在気体

実在気体は,厳密には完全気体の法則には従わない.特に低温,高圧力環境下でその影響が顕著となる.分子間相互作用がこの原因となる.$pv=RT$と気体の状態方程式が表わされるのは理想気体のところでしめしたが,圧縮因子$Z=pv/RT$と定義すると,ほとんどの気体のにおいて$Z>1$となる.理想気体の導入時に,分子は衝突の際には引力がなく,点として定義され大きさは無く,完全弾性体として振る舞うと過程した.この仮定が実在気体とのずれの原因となる.ファンデルワールスらは圧力と容積の中に適当な修正項を加えることにより,これらの影響を考慮した状態式を作成した.圧力$p$,比体積$v$,温度$T$,気体定数を$R$$a$$b$を定数とすると,以下のファンデルワールスの状態方程式が表わされる.

\begin{displaymath}
\Bigl(p+\frac{a}{v^2} \Bigr)(v-b)=RT
\end{displaymath} (1)

この状態方程式では,臨界圧力を$p_c$,臨界温度を$T_c$,臨界比体積を$v_c$とすると, ファンデルワールスの状態方程式に対して,等温線を求めると,$T<T_c$において等温線はすべて振動を示し,それぞれ極小に続いて極大をとる.これらの極値は$T\to T_c$につれて収斂し$T=T_c$で一致する.すなわち,臨界点では曲線は平らな変曲点になる.曲線の一般の性質から,この型の変曲点は1階と2階の導関数がともに0のときに起こる.この二つの式から, $p_c=\frac{a}{27b^2}$, $v_c=3b$ $T_c=\frac{8a}{27bR}$が得られる..これらの定数を臨界定数という.
また,換算圧力を$p_r=p/p_c$,換算温度を$T_r=T/T_c$,換算容積を$v_r=v/v_c$とすると,物質に依存しない以下の換算状態方程式が得られる.

\begin{displaymath}
\Bigl(p_r+\frac{3}{v_r^2} \Bigr)\Bigl(v_r-\frac{1}{3} \Bigr)=\frac{8}{3}T_r
\end{displaymath} (2)

これらの状態方程式は様々提案されており,例えばベルテローの状態方程式

\begin{displaymath}
p=\frac{RT}{v-b}-\frac{a}{tv^2}
\end{displaymath} (3)

ディーテリッチ(Dieterici)の状態方程式

\begin{displaymath}
p=\frac{RTe^{-a/RTv}}{V-b}
\end{displaymath} (4)

などがある.

10.2 ビリアルの状態方程式

ビリアルの状態方程式は状態方程式が単純なべき級数としてあらわしたものであり,以下の式で表わされる.

\begin{displaymath}
p=\frac{RT}{v}\Bigl(1+\frac{B}{v}+\frac{C}{v^2}+\cdot\cdot\cdot\Bigr)
\end{displaymath} (5)

B,Cは温度に依存する係数で,第2,第3, $\cdot\cdot\cdot$ビリアル係数という.

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