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第一回 熱力学第0法則,温度,熱量および状態量

1.1 熱力学第0法則

温度の高い物体と温度の低い物体を接すると,温度の高い物体の温度は下降し,温度の低い物体の温度は上昇し,やがて2物体の温度は同じになる.この状態を熱平衡に至ったとする.熱平衡にある2物体の温度は互いに温度が等しくなる.熱平衡にある2物体の温度が互いに等しいという経験則を熱力学第0法則という.

1.2 温度

温度計を最初に融けかけた氷に接触させ,その後沸騰しているときの水に接触させたときの長さを100段階に分けたものを度(セルシウス度)と言う.この温度を$\theta$[℃]で表すとする.気体の膨張を使用し,気体の圧力により温度目盛りを定義したものを完全気体温度目盛りとする.これは熱力学温度目盛りと同じであり,この時の温度$T$[K]で表すと,次の関係式であらわされる.

\begin{displaymath}
T=\theta+273.15
\end{displaymath} (1)

1.3 状態量

系が内部と外界の間で力の不釣り合いがなく,熱力学的平衡にある場合,系の状態は,圧力や温度などによってあらわすことができる.そのような状態を表す量を状態量.状態量(状態変数)は示量変数(extensive variable)示強変数(intensive variable)の2種類がある.

  • 示量性状態量
  • 系の大きさ,体積,質量が変化すると,それに比例して変化する状態量.
    ex. 体積,質量,エントロピー,エンタルピー,内部エネルギー
  • 示強性状態量
  • 相加性(示量性)を持たない状態量.
    ex. 圧力,密度,温度,濃度,化学ポテンシャル.

1.3 単位系

 日本では日本工業規格(JIS)を含め,工業分野において国際標準化機構(ISO)が制定した国際単位系(SI)を用いることになっている.SI単位系における基本単位は,長さはメートル[m],質量はキログラム[kg],時間は秒[s],電流はアンペア[A],熱力学温度ケルビン[K],物質量はモル[mol],高度はカンデラ[cd]となる. 主な単位の換算をいかに表す.

  • $F$;物体1[kg]に1[m/s$^2$]の加速度を発生させる力をニュートン[N]とする.
    1[N]=1/$g$[kgf].($g$は重力加速度=9.80665[m/s$^2$])
  • 圧力$P$;応力圧力ともに[Pa]=[N/m$^2$]を用いる.圧力に関して大気圧との差圧を示したものをゲージ圧力という.
    1[bar]=1$\times$10$^5$[Pa]
    1[atm]=1.01325$\times$10$^5$[Pa]
    1[atm]=760[mmHg]
  • 熱量$Q$;熱量は仕事と単位が同じとなりジュールが用いられる[J].
    1[kcal]=4.1855[kJ] (国際キロカロリー)
  • 仕事率$P$;[W]=[J/s]を使用する.
    1[PS]=0.7355[kW]
    1[HP]=0.7457[kW]

1.5 気体定数

一定温度では,一定量の気体と圧力の体積には,

\begin{displaymath}
pV=一定
\end{displaymath} (2)

の関係がある(ボイルの法則). 同様に圧力が一定の系に対して,体積は温度変化に対して線形的に増加し,

\begin{displaymath}
V=a\times T
\end{displaymath} (3)

の関係がある(シャルルの法則). また,経験則として,気体分子1[mol]あたりの体積は,気体の種類によらず同じであり,すなわち定圧,定温では,

\begin{displaymath}
V=定数\times n
\end{displaymath} (4)

また,同じ温度と圧力では同体積の気体は同数の分子を含む(アボガドロの法則). 以上より,$R$を気体定数とすると

\begin{displaymath}
pV=n\bar{R}T
\end{displaymath} (5)

という理想気体の状態方程式が得られる.

  • 分子間力を無視できる.
  • 分子の衝突に際し完全弾性球として振る舞う.
  • 分子の大きさは平均自由行程と比較して非常に小さい.

この時,アボガドロの法則によると273.15[K],1[atm]の気体1[kmol]が占める体積は22.414[m$^3$]より,

\begin{displaymath}
\bar{R}=8.3143 \mathrm{[J/mol K]}
\end{displaymath} (6)

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